調停申請書
指定住宅紛争処理機関住宅紛争審査会 御中
住宅紛争審査会調停手続規則に従い、調停を行うことに同意し、本書をもって、上記申請をします。
1.当事者及びその代理人の住所氏名
~略~
2.評価住宅に関する事項
~略~
3.紛争処理を求める事項(申請人としては、具体的にどうしてほしいのかの結論部分)
1)申請人居室下の機械式駐車機稼動騒音を申請人居室内で聴こえない様にされたい。
数値目標値としては、日本建築学会の建物の内部騒音に関する騒音等級であるN値で、N-30以下とされたい。
本来、共用設備からの騒音は聞こえるかどうかが問題とされているが、レベル数値で表すなら、日本建築学会の推奨レベルであるN-35の1ランク厳しいレベルとされたい。
ちなみに現在の騒音レベルは、N-45である。
2)被申請人の行った機械式駐車機の速度変更については管理組合へ自ら報告されたい。
申請人居室下機械式駐車機はマンション管理組合の共用設備であり、その稼動速度変更は”管理組合の承諾が必要”である。
被申請人が実施した同機の速度調整について、調整前後の稼動速度及び調整の詳細を書面として提出され管理組合の承諾を得られたい。
4.紛争の問題点及び交渉経過の概要
1)駐車場騒音は心配ないとの説明を受けて購入した。
宅地建物取引主任者には事前に何回も、「下が駐車場だが音は問題ないですか?」と尋ねたが、その度に、2階部分が吹き抜けである事や、床スラブ厚が275mmもある等を説明され「心配ない」との説明を受けた。
また、同氏からは「会社にも話しておきますから」と言われたため、申請人としては何か問題があれば言ってきてくれるだろうと安心した。
2)管理会社経由でクレームを申し立てた。
入居後まもなく、”ウ~ン”、”トトトト”という騒音に気づき、その音が東側側壁より聴こえるように感じられ、外からの音か、上の住人かと色々悩んでいた。
その後、早朝音がした後に、ベランダ下の出庫口から車が出て行くのが見え、階下機械式駐車機の稼動音であることが分かった。
駐車場からは、タイヤのきしみ音やエンジン始動時のセルモーター音などはまったく聴こえてこないため、当初は駐車場からの音とは考えられなかった。
早朝は、午前6時頃(まれに6時前)より出庫が始まり起こされ、また、深夜に入出庫があると、寝入りばなで目が冴えて眠れなくなる等、睡眠を妨害される。
管理会社へクレームを申し立てた。
3)第一回騒音測定が行われた。
管理会社(T氏、K氏)、建設会社(Q氏)、駐車機メーカ(N氏)による騒音測定が行われた。
2週間後、管理会社から被申請人へ報告資料が提出された。
同日、管理会社(T氏)から申請人へ報告資料がFAXされた。
概要は、
・測定点は、和室畳上30cm
・横行時騒音は、32dBA(デシベル)
・昇降時騒音は、38dBA
・暗騒音は、26~28dBA
であった。なお、T氏による下記所見が記載されている。
『数値上、日常生活に支障のあるという結果は読み取れませんが、立会い時の音の感じ方としては、窓から音が侵入してくるというような(全面道路を通過するバイクのエンジン音)音とは異なり、部屋の下から躯体を伝わって響く、という感覚です。』
4)被申請人から回答書(第一回)があった。
報告資料提出の2週間後、被申請人から管理会社へ回答があった。
管理会社(T氏)より申請人へ回答書のFAXが送られた。
概要は、
・騒音最大38デシベルは騒音として大きいものではない
・機械式駐車機そのものの騒音を小さくすることは不可能
・横行速度を(約17%=時間にして3秒)遅くすれば若干騒音を軽減できる
・横行速度変更の為には、マンション管理組合での賛成の決議が必要
・賛成の決議がでれば変更工事を行う
であった。
5)再調査依頼を管理会社を通じて行った。
申請人としては、睡眠を妨げられる騒音が『日常生活に支障がない』であったり、『騒音として大きいものではない』という回答に納得できず、また、申請人の聴感上、横行時騒音が昇降時騒音よりうるさく感じられているのに、測定結果がその逆である事に対しても納得できなかった。
その後も、電話や電子メールで管理会社に対し「横行騒音が昇降騒音より小さいという測定結果は納得できないので、再調査やデシベルという単位以外での調査」を依頼した。
しかし、管理会社(T氏)からは「連絡はしているが、特に回答は無い」とのことであった。
6)マンション理事会にて横行速度低減は認められないとの結論がでた。
概要は、「現状でも車庫入れの順番待ちで、表の車道にまで車の列ができることがあり、これ以上速度を落とすと、特に車路の入り口近くのパレットが遅いと、さらに混雑することが予測され、当該パレット契約者の方全員に同意を得ることはほとんど不可能。」
7)被申請人に騒音の録音を郵送した。
再調査依頼から3ヶ月経ても、何の回答も無いため、騒音調査に来ていない被申請人に音を聞いてもらうため騒音を録音し、被申請人へ書面とともに郵送した。
書面の概要は、
・横行稼動音が上下稼動音より小さい結果には納得できない
・横行速度減速は理事会で否認された
・再測定および調査(音源・伝播経路)を実施してほしい
8)第二回測定が行われた
録音での書面郵送の1ヵ月後に騒音測定が行われた。
結果概要は、
・測定点は、和室畳上3cm
・横行時騒音は、45.6dBA(C特性は、56dB)
・昇降時騒音は、38.6dBA(C特性は、56dB)
・暗騒音は、25.3dBA(C特性は、48dB)
9)回答書を催促した。
回答書がなかなか送られてこないため、被申請人へ電話したところ、不在であった。被申請人に代わり本件の事情を知る責任者として、S氏より「来週、建設会社と駐車機メーカーと話し合い、来週中には回答する。いずれにしろ、物理的にはスピード調整しかない」との説明を受ける。
10)被申請人から回答書(第二回)があった。
第二回騒音測定から約一ヵ月後、被申請人から申請人へ回答があった。
概要は、
・測定値が大きいのは、申請人要望で、測定点を床上3cmにした為であり、日本工業規格では、壁などより50cmと定められている
・居室内騒音レベル40デシベル(間欠音を除く)を自社規定としており、日本工業規格での測定点での計測では、その値をおおきく逸脱していない
・第二回騒音測定の翌週に横行スピードのばらつき調整およびクリアランスを行ったので、多少ではあるが、稼動音の感じ方が良くなっているのではないか
・その他の方法は、駐車機械のスピードを遅くすることしかない
・検証はしていないが、畳下に敷く鉛シートが市販されているとのことである
11)被申請人に回答書(第二回)に対する質問書を送った
質問書を送った。
(一)測定点床上3cmは申請人の要望ではなく、駐車機メーカ担当者に「この方がよく音が取れます」と言われたからである。
(二)日本工業規格の資料が欲しい。また、過去の測定をそれで行わなかったのは何故か?
(三)測定点を50cmにして再度計測されるか?
(四)『自社規定といたしまして、居室内騒音レベルは40デシベル(間欠音を除く)を目標とした仕様で設計及び施工を目指しております。』の、”居室内騒音レベル”、”間欠音”とは何か?
(五)実施されたという『機械式駐車場の再点検』について詳細を知りたい
(六)騒音計でも、聴覚でも騒音を確認していただけたことと思う。今現在も静穏な生活ができずにいるので、改善に関する回答をいただきたい。
12)被申請人から回答書(第三回)があった。
被申請人から申請人へ回答があった。
概要は、
(1)測定点3cmは、申請人の要望ではなく、打ち合わせにより決めたと訂正する
(2)今回の測定はあくまでも参考にということで、基準にとらわれず実施した。なお、日本工業規格の資料(A1417:2000)を添付する。
(3)再度の騒音測定は考えていない
(4)居室内騒音レベルとは、居室の一般的な暗騒音。間欠音とはバイク等の騒音や工事による騒音などの単発的に聞こえる音を指す。今回の機械駐車の稼動音も間欠音に該当する。
(5)「横行スピードのばらつき調整」とは、他の駐車機に比べて、申請人居室下の機械駐車の方が、機械横行時のスピードが若干速かったため、申請人居室下の機械駐車の速度を調整し、同じ程度の速度にした。
(6)いずれにしても、自社規定を大きく逸脱したものではないと判断しているご理解賜りたい。
13)申請人は当事者間での交渉を断念した。
申請人のクレーム申し立てから半年近く経過するのに、被申請人による”調査”そのものが”参考程度”のものであったという事実、及び、被申請人の回答には多くの疑問や矛盾があり、多分にその場限りの場当たり的回答となっており、これ以上直接交渉を続けても状況は改善されないと思われるため、第三者の介入が必要であると考えた。
矛盾・疑問点の概要は、
・「受音室で、0.5m以上離れ」という、日本工業規格(A1417)の”固定マイクロホン法”は、室内平均音圧レベル差を測定する場合の規格であり。本件に該当されるか疑問である
・自社規定を「居室内騒音レベル40デシベル(間欠音を除く)」「居室内騒音レベルとは暗騒音」「今回の音は間欠音」と説明されているが、要約すると、「暗騒音レベル40デシベルを目標にしているが、今回の音は間欠音であるため、この規定から除外される」となってしまい、被申請人の説明は回答になっていない
・自ら、機械式駐車機のスピード低減は管理組合の賛成決議が必要と回答しながら、別の回答文面からすると管理組合の承諾なしに機械駐車機の横行速度を低減している。管理組合の賛成決議が得られているなら、申請人も組合員であるため、知らされているはずである
14)申請人は独自に調査を行った。
申請人は、本件に関係しない第三者たる騒音測定業者に騒音測定を依頼した。
その結果概要、
・測定点は、和室畳上50cm
・横行時騒音等級は、N-45
・下降時騒音等級は、N-40
・暗騒音は、28.1dBA
であった。
本件の”共用設備からの騒音”は”聞こえるかどうかが問題”であるところ、騒音等級のN値でN-45であり、日本建築学会での3級レベル(やむを得ない場合に許容される性能水準)でしかない。
振動検査でも、騒音のピークと側壁に設置した振動計のピークが同調しており、駐車機の稼動音が建物筐体を固体伝播してくる音と考えられる。
また、本件の駐車機は建物とは独立に自立させる内部鉄骨方式であるにもかかわらず、建物内壁に支持されている消化設備の堅管と、駐車機の鉄骨支柱そのものが直に接している箇所などがあるが、このような設置状態は、同マンションの他の駐車機にも、また近隣のマンションにおいても見られない。
5.その他の紛争処理を行うに際し参考となる事項
~略~
⊿
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